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超音波検査(子宮②)

超音波検査「子宮②」

子宮に最も高頻度に見られる腫瘍が子宮筋腫で、これは良性の腫瘍で平滑筋細胞、繊維性結合織や血管などからなっています。筋腫には、子宮の外側を覆う漿膜の下に発育するもの、筋層内に発育するもの、子宮内膜下に発育するものがあります。①,②は同一症例で、子宮の外側に突出する形で漿膜下に発育した筋腫です。①,②では、エコーで黒色に見える25mm大の腫瘤(赤色矢印)が、子宮(黄色矢印)から突出しています。③,④は筋層内に発育した筋腫です。類円形の腫瘤(赤色矢印)が子宮の筋層内に黒色に数個見え、④ではドップラーで周囲から筋腫に流入する栄養血管がカラーで見えています。筋腫は小さいものはエコーで黒色の腫瘤に見えるものの、大きくなるにつれて、変性と呼ばれる組織の変化が起こり、黒、灰色、白などの色々な色調となり、白黒混在したモザイク様や、唐草模様や渦巻状に見えたりします。⑤,⑥は同一症例で、漿膜下に発育する10㎝大の大きな筋腫です。膀胱(水色矢印)を圧排する形で、比較的境界明瞭な被膜に包まれ、白黒混在した色調の腫瘤を認めています。⑦,⑧の子宮筋腫では、2つの6cm大の腫瘤(赤色矢印)が雪だるま状に子宮を占拠しています。⑧では25㎜m程度の小さな筋腫(紫色矢印)が、漿膜下に発育して突出しているのも見られます。


子宮筋腫が子宮を占拠して一塊となった腫瘤像を示した場合、卵巣腫瘍などとの鑑別が必要になることがあります。⑨,⑩は7cm大の比較的境界明瞭な球形の形態をした子宮筋腫です。内部は白黒まだらのモザイク様の色調で、これは筋腫の腫瘍細胞が壊死してガラスの様に固くなった硝子変性を生じたことによる変化です。⑪,⑫は同一症例で、灰色に見える筋腫(赤色矢印)と、その周囲や内部に黒色の嚢胞成分(紫色矢印)が見られます。筋腫が大きくなり血液供給量が不足すると、一部の腫瘍細胞が虚血壊死をおこし、内部に壊死物質や血液成分などの液体成分を貯留した嚢胞変性を認めることがあります。⑬,⑭では子宮内に50㎜弱の類円形の筋腫(赤色矢印)を認め、内部に白色が強く見える部分(緑色矢印)も見えます。これは筋腫の変性に伴う石灰化です。石灰化は筋腫の変性後に生じる変化で、腫瘍組織が石の様に固くなる変化です。高齢者の子宮筋腫に見られることが多く、強くエコーを反射するために⑭で見られるように背後に黒く影(桃色矢印)を引きます。また⑭では、石灰化を認める部分の一部に、嚢胞変性が疑われる黒色部(紫色矢印)も伴っています。⑮,⑯は、膀胱(水色矢印)の方向の漿膜下に発育した6cm 大の子宮筋腫(赤色矢印)です。内部は硝子変性により白黒が混在した色調を示しています。

 

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