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超音波検査(膀胱・前立腺)

超音波検査(膀胱・前立腺)

腎臓で作られた尿は、腎臓から尿管を通って下腹部にある膀胱に一旦蓄えた後に排出されますが、膀胱の形状と壁の厚さは尿の貯留量により変化します。尿が貯留するにつれて膀胱壁は薄く球形に変化し、膀胱には約500mlの尿を貯留できます。①,②は正常の膀胱(水色矢印)で、エコーで膀胱壁は薄い白色の壁に見え、膀胱は内部に黒色に見える尿をためた袋状の臓器に見えます。なお①②の緑色矢印は、女性の膀胱の背側面にある子宮です。エコーでは、よく動いているものを色をつけて表示できるドップラーという機能があり、②では尿の通り道である尿管から、膀胱内に尿が流入する像(赤色矢印)がドップラーで色がついて見えています。③,④は膀胱炎の画像です。膀胱炎では、炎症により全体的に肥厚した膀胱壁(赤色矢印)が確認できます。⑤,⑥の赤色矢印は膀胱憩室の画像です。膀胱憩室とは、膀胱(水色矢印)から膀胱壁が嚢胞状に外側へ突出したもので、膀胱との交通があり、内面は膀胱粘膜の続きにより覆われています。⑤,⑥でも、膀胱(水色矢印)から交通があり、エコーで黒色に見える尿を溜めた袋状の突出部の膀胱憩室(赤色矢印)が観察されます。また⑤の黄色矢印は、男性の前立腺です。


⑦は正常の前立腺の画像です。前立腺は男性の膀胱(水色矢印)の背側にあり、左右径4.0cm、前後径2.5cm、上下径3.0cm程度の栗の実の形をした臓器で、エコーでは⑦の黄色矢印の様に灰色の臓器として見えます。前立腺の役割は完全に解明されているわけではありませんが、精液の一部である前立腺液を作ったり、また膀胱出口の開閉に関与しているのではないかと言われています。⑧は前立腺の石灰化です。時に前立腺も石灰化といって、前立腺の一部が石の様に固くなることがあります。⑧の赤色矢印の様に石灰化はエコーでは白く見え、石灰化した所は強くエコーを反射するため、黒色の影(ピンク色矢印)を背後に引いています。⑨,⑩は同一症例で前立腺肥大(黄色矢印)の画像です。前立腺は肥大してくると、左右径に比して前後径と上下径が大きくなり、円形に近い形になります。⑨,⑩でも前立腺は5.6×4.4cmと円形状に肥大し、前面にある膀胱(水色矢印)を圧排しています。内部には黒色が濃い部分と灰色の部分の濃淡が見られますが、周辺は比較的均一な白色の被膜で被われています。⑪,⑫も前立腺肥大の症例です。前立腺は5.6×4.5cm大に肥大し、内部に小さな石灰化(赤色矢印)も認めています。


⑬,⑭,⑮は尿膜管遺残の同一症例です。生まれる前の赤ちゃんが母親のおなかの中にいる間(胎生期)には、臍と膀胱の頂部が尿膜管という管でつながっています。胎生期のうちに普通はこの尿膜管は退化して結合織となりますが、時にその尿膜管が生後も残っている人がいて、この遺残物を尿膜管遺残といいます。尿膜管遺残には、尿膜管が臍と膀胱に開存したままになっているため少量の尿が臍から出てくるものや、憩室と呼ばれる膀胱壁が膀胱の外側に飛び出しているものや、結合織となった尿膜管の内部に嚢胞といわれる袋が存在するものなど、いろいろなタイプがあります。これらの遺残物に細菌感染を合併すると、腹痛の原因となることがあります。⑬,⑭,⑮は臍のやや足側に見られた、嚢胞残存型の尿膜管遺残です。臍のやや足側の痛みがある部位をエコーで観察すると、細菌感染による炎症のために黒色に見える12~13mm大の膿瘍形成部(白色矢印)があり、その内部には小さな袋である小嚢胞(赤色矢印)が見えます。この嚢胞に細菌感染が起こり周囲に炎症が波及すると、⑬,⑭,⑮で黒色に見えるような炎症性変化や膿瘍形成(白色矢印)を認め、腹痛の原因となります。

 

参考ブログ:

超音波検査(膵臓)  超音波検査(脾臓)

超音波検査(腎臓①) 超音波検査(腎臓②)