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超音波検査(子宮①)

超音波検査「子宮①」

子宮は膀胱の裏側に洋梨型に見える臓器で、子宮の膣側の1/3を頸部、それより頭側を体部と言います。子宮の内部には月経周期に相当する子宮内膜が、エコーで線状や帯状の白色像に見えます。①,②の黄色矢印は正常の子宮です。エコー画像で黒色に見える尿が貯留した膀胱(水色矢印)の背側に子宮はあり、子宮は①の様に、頸部で膣(緑色矢印)と連続しています。また、①,②の白色矢印では卵巣が見えています。③は後屈子宮の画像です。多くの子宮は体部が頸部に対し前方に屈曲(前屈)していますが、③の子宮(黄色矢印)の様に、子宮体部が背側(③の画面では下側)に傾いている人もいます。これが後屈子宮ですが、後屈子宮は特に病気ではなく正常変位です。④の子宮内の白色点状エコー像(赤色矢印)は、子宮内避妊具が見えています。その背部には強く影(桃色矢印)を引いています。⑤,⑥は同一症例で、子宮頸部にエコーで真っ黒に抜けて見える嚢胞(赤色矢印)が見られ、これはナボット嚢胞と呼ばれるものです。ナボット嚢胞は、エコー画像ではしばしば子宮頸部に境界明瞭な黒色の円形構造として見え、内部に粘液性の液体を貯留し良性で病的意義は乏しいです。⑤,⑥でも子宮(黄色矢印)内に、約15mm程度の周囲との境界明瞭な嚢胞構造(赤色矢印)を認めます。


たなべ内科クリニックは消化器内科が専門のため、妊娠して起こる「つわり」の吐き気を胃腸の病気と勘違いして受診される患者さんが時におられます。つわりには個人差がありますが、早い人では妊娠5週くらいから始まり、妊娠20週くらいには軽くなることが多いようです。⑦,⑧は妊娠初期(妊娠5週目程度)の子宮です。子宮(黄色矢印)の中に、胎嚢(水色矢印)と呼ばれる羊水を貯留した空間が、エコーで黒色に見えます。妊娠のごく初期のため、まだ胎嚢の中に胎児は見えません。⑨,⑩,⑪は同一症例で、妊娠7週程度の妊娠初期のエコー像です。胎嚢(水色矢印)の中にリング状の卵黄嚢(赤色矢印)が見えています。卵黄嚢は妊娠早期の胎児に対する栄養分(いわゆる卵の黄身にあたるもの)です。エコーではよく動いているものに色をつけて表現するドップラーという機能があり、血管内を流れる血流や心拍動はドップラーで色がついて見えます。⑩,⑪では、卵黄嚢(赤色矢印)のすぐ横に小さな胎児の体が灰色に見えていて、ドップラー画像で胎児の体内に色がついた胎児心臓の心拍動(紫色矢印)が見えています。⑫,⑬は同一症例で、胎児がさらに大きくなった妊娠16週程度のエコー像です。頭部(緑色矢印)が確認でき、胴体(白色矢印)の中に背骨や上肢がエコーで判別できます。

 


⑭~⑱は妊娠17週程度の同一症例の画像です。⑭では、エコーで真っ黒に見える羊水(水色矢印)の中に胎児の体が見えています。頭部(緑色矢印)、体部(白色矢印)、下肢(紫色矢印)がはっきり判別できます。⑮では体部(白色矢印)の背側に背骨が確認でき、また心臓(赤色矢印)も確認できます。⑯ではへその緒(黄色矢印)が胎児の臍(橙色矢印)につながっている画像が確認でき、ドップラー画像では血流の豊富なへその緒(黄色矢印)と心臓(赤色矢印)は色が付いて見えます。へその緒は太い1本の血管ではなく、2本の臍帯動脈と1本の臍帯静脈からできています。これらの3本の血管がしめ縄の様にらせん状に捻じれ1本の綱の様になって、母親の胎盤と胎児の臍をつなぎ母体から胎児に血液を供給しています。⑯,⑰でもしめ縄の様に3本の血管が1本のへその緒(黄色矢印)となり、胎児の臍(橙色矢印)につながっている像がドップラー画像で確認できます。またエコーでは、動いている物をドップラー画像でカラー表示するとともに、その動きの波形を表示し流速を測定できる機能があります。⑰,⑱では胎児の心臓(赤色矢印)に+で示されるポインターを当て、その部位の血流速度を測定すると、画像の右図のようにしかっかり拍動している胎児心臓の心拍による血流波形が確認できます。

 

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