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超音波検査(脾臓)

超音波検査「脾臓」

脾臓は体の中で上腹部の左側背部にあり、血液の血球成分を作ったり壊したりしている臓器です。左腎臓の頭側にあり、①では左腎臓(赤色矢印)の頭側にある黄色矢印に囲まれている臓器が脾臓です。①,②は正常の脾臓です。エコーでは脾臓は①,②のように三角形の灰色の臓器としてみえますが、左腎臓の頭側で横隔膜直下にあるために、③のように空気を含む左肺の影(赤色矢印)が被り、脾臓(黄色矢印)の全体像が見えにくいことも時にあります。脾臓は成長とともに増大し、その後加齢とともに萎縮するため、脾臓の大きさは個人差が大きいものの、脾臓が大きい脾腫が時に見られることがあります。④は脾腫の画像で、脾臓は約14×6cm大に腫大しています。脾腫であっても異常ではないこともしばしばありますが、時に肝疾患や血液疾患のために脾腫を認めることがあります。⑤,⑥の緑色矢印は脾嚢胞です。脾臓にも肝臓や腎臓と同様に、時に内部に液体成分が貯留する嚢胞ができることがあり、脾嚢胞は一般的には病的なものではありません。⑤では脾臓内部に小さな黒く抜けた像(緑色矢印)として脾嚢胞が見え、⑥では脾臓から一部突出した形の14mm大の嚢胞が見えています。


⑦,⑧,⑨はどれも副脾(黄色矢印)の症例です。脾臓と同じ組織像を持つ小さな腫瘤である副脾が、脾臓の近くにある症例が時にあり、これは正常変異で病的意義はありません。副脾はそれほど珍しいものでもなく、ごく小さいものも含めると約10%程度の人に副脾があるといわれています。しかし、エコーでは左肺の空気が影となり綺麗に脾臓全体を描出できないことも時にあり、超音波検査ではそこまで多くの人に見つかるわけではありません。⑦では13㎜大、⑧では7.9㎜大、⑨では12㎜大の副脾(黄色矢印)が見られます。

⑩,⑪は同一症例で脾臓の石灰化です。⑩では左腎臓(緑色矢印)の頭側にある脾臓(黄色矢印)内に、白色の点状に示されている部分(赤色矢印)が見えます。これが脾臓の石灰化で、脾臓の中で一部の組織が石の様に固くなっているいます。⑪でも脾臓(黄色矢印)の中に石灰化(赤色矢印)が白色に見みえ、⑪では固くなった石灰化の部分が強くエコーを反射し、その裏側に薄く黒い影(白色矢印)を引いています。脾臓の石灰化も、一般的には病的なものではありません。


⑫,⑬,⑭,⑮,⑯は脾損傷の同一の方の画像です。⑫,⑬,⑭は強い外力による外傷のためにダメージを受けた脾挫滅の画像です。脾臓内には小さな嚢胞の様にも見える濃い黒色の像(赤色矢印)を認めるとともに、一見すると石灰化の様にも見える白色の像(白色矢印)の部位も認めています。この患者さんの脾臓は、内部は均一な灰色ではなく、白色や黒色の部位を含んだ白黒まだらな像を示し、これは挫傷した脾臓を反映しています。また⑬,⑭では、エコーで白い線で描出された横隔膜(ピンク矢印)の直下から、緑色矢印で囲まれた部位にやや黒色の濃い部分が見られます。この黒色の部分は脾臓の損傷により出血した血液が溜まった被膜下の血腫(緑色矢印)です。よく見ると黒色に見える血腫(緑色矢印)の部分から脾臓内部に向けて、楔形の亀裂の黒色線(黄色矢印)を認めており、脾損傷により開いた裂創(黄色矢印)が血腫(緑色矢印)に連続しています。また、⑮の水色矢印で囲まれている黒色部は、腹腔内の腸管の間にたまっている血液成分で、脾損傷により腹腔内に出血した血液成分がエコーで描出されています。腹腔内出血をすると、腸管の間や骨盤内、脾臓・肝臓周囲の出血が、時にエコーで黒色の像として確認されます。⑯の肝臓表面(黄色矢印)の黒色に描出されている部分(水色矢印)も、少量の腹腔内出血です。

 

参考ブログ:

超音波検査(胆嚢①) 超音波検査(胆嚢②)

超音波検査(胆嚢③) 超音波検査(膵臓)

超音波検査(腎臓①)