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超音波検査(リンパ節①)

超音波検査「リンパ節①」

リンパ節は一種の免疫器官で、細菌やウイルス、癌細胞などの有無をチェックし、免疫機能を発動する「関所」のような役割をしています。リンパ節は、細菌やウイルスなどの感染に伴い炎症性に腫れたり、癌細胞などの悪性腫瘍により腫瘍性に腫大します。エコーでリンパ節は灰色~黒色の色調で、扁平型や楕円形、円形に見え、リンパ節に入る血管やリンパ管の入り口であるリンパ節門が小さく白色線状に見えることもあります。①~④の赤色矢印は同一患者さんの頸部に散在した、7~8mm大の扁平状のリンパ節です。頸部には元来、リンパ節が多数あり、風邪など上気道感染に伴う炎症によりしばしば腫大します。⑤,⑥の赤色矢印は、頸動脈周囲で10mm大に腫大した楕円形の頸部リンパ節です。ドップラー機能で血管は色が付いて見え、⑤,⑥の黄色矢印は頸動脈です。⑤,⑥のリンパ節門(青色矢印)の部分では、リンパ節に流入する小血管(緑色矢印)がドップラーで色が付いて点状に見えています。⑦,⑧の赤色矢印は、胸鎖乳突筋(白色矢印)表面で、軽度腫大した扁平状リンパ節です。一時的な炎症で腫大したリンパ節が、炎症が改善した後も腫大したままのことがしばしばあります。⑦,⑧は私の頸部リンパ節で、40年前から腫大したままで大きさも変わっていません。


⑨~⑬のエコー画像は、同一症例の左鼠径部のリンパ節炎です。鼠径部とは股関節の前面の足の付け根の部分で、ビートたけしのギャグ「コマネチ」の時に両手でなぞるあたりです。この鼠径部にもリンパ節が比較的多くあり、しばしば鼠経リンパ節も腫大します。⑨~⑬は細菌感染による反応性のリンパ節腫脹で、鼠径部の痛みを主訴に受診されました。⑨の赤色矢印は17mm大に腫大した楕円形の鼠経リンパ節で、⑩の赤色矢印はその近傍の16mm大に腫大した円形のリンパ節です。リンパ節周囲の結合織は白く霧がかかった様にみえ、リンパ節炎の炎症が周囲に波及しています。また、⑩では周囲にも扁平のリンパ節(白色矢印)が2個見えています。⑪の赤色矢印の鼠経リンパ節は、一見すると勾玉型に見えますが、⑪の右図拡大画像では、緑色矢印と紫色矢印で示された2個の扁平のリンパ節が合わさって勾玉型に見えていることがわかります。⑫も左鼠径部に見られた16㎜大のリンパ節で、⑬は数個集まって腫大してたリンパ節です。⑬では赤色矢印、緑色矢印、紫色矢印の3個のリンパ節が15~16mmに腫大しており、これらは細菌感染に伴う炎症により腫大したリンパ節で、抗生剤投与にて改善しています。


頸部や鼠径部などの体表の皮下にリンパ節は多く存在していますが、腹腔内にもリンパ節は散在しており、腹部疾患により腹腔内のリンパ節が腫大することがあります。⑭~⑯は感染性腸炎による同一症例の画像です。終末小腸(右下腹部で小腸が大腸に移行する付近の小腸)の部分は、比較的リンパ節が多い場所で、⑭ではドップラーで色が付く腸骨静脈(水色矢印)や腸骨動脈(紫色矢印)近くの終末小腸周囲に、10mm程度に腫大した黒~灰色の楕円形リンパ節(赤色矢印)が、2個見えています。⑮は終末小腸から入ってすぐの大腸(赤色矢印)です。大腸壁は腸炎のために、短軸像では中心から白・黒・白・黒と弓道の的の様に壁肥厚を認め、長軸像でも肥厚した大腸壁が見えています。⑯では炎症により肥厚した大腸周囲に、7~8mmに腫大したリンパ節(赤色矢印)が散在しています。この症例は、便培養検査でキャンピロバクターによる細菌性腸炎と診断されました。⑰,⑱も感染性腸炎による回腸末端炎の画像です。⑰では小腸から入ってすぐの大腸壁(黄色矢印)は炎症性に肥厚し、終末小腸(白色矢印)と腸骨静脈(水色矢印)の間に、10mm大にリンパ節(赤色矢印)が腫大しています。⑱では炎症で拡張した小腸(黄色矢印)周囲に、腫大したリンパ節(赤色矢印)が黒色に見えています。

 

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