トピックス

感染性腸炎
トピックス · 06日 6月 2023
感染性腸炎とは、病原微生物が胃腸に入り込むことで発症する病気で、病原微生物の種類には、ウイルスや細菌、寄生虫などがあります。微生物は汚染された食物などから、経口で体内に侵入し、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢や発熱などの症状を起こします。ウイルス性腸炎では、小腸内に腸液などの分泌亢進を引き起こす小腸型の腸炎をおこし、水溶性下痢や嘔吐が主に見られ、血便が見られることは稀です。細菌性腸炎では、水溶性下痢や嘔吐の症状が中心の小腸型のこともありますが、キャンピロバクターやサルモネラ、腸管出血性大腸菌などの細菌感染では大腸の粘膜障害が強く、血便や粘血便を伴う大腸型の腸炎を発症します。感染性腸炎は一般的に自然治癒傾向が強く、細菌性腸炎の場合も原則的には抗生剤は不要で、治療は基本的には対症療法となります。下痢止めは、腸管内の毒素などの排出を制限し、病状を遷延させる可能性があるため基本的には使用しません。多くの場合、整腸剤や吐き気止めや解熱剤などを症状に応じて使用し、脱水予防のため水分補給を十分行ない安静を保つことで、自然回復します。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

令和5年春のコロナワクチン追加接種開始
トピックス · 27日 5月 2023
令和5年春のコロナワクチンの追加接種が、5月の第2週以降に開始になっています。使用されるワクチンは、ファイザー社のオミクロン株対応ワクチンです。たなべ内科クリニックでも、5月10日以降ワクチンの追加接種が始まり、2週間以上経過していますが、特に重篤な副反応を認めた人は現時点ではおられません。春のコロナワクチン追加接種の接種対象者は、65歳以上の高齢者と、64歳以下の人のうち基礎疾患のある方と医療従事者の方のみになっています。65歳以上の方で、令和4年の秋以降にオミクロン株対応ワクチンを接種された方には、新たに4月下旬から接種券が郵送されています。オミクロン株対応ワクチンを接種されていない65歳以上の方は、以前に郵送された接種券使用して、ワクチン接種が可能です。また、64歳以下の方のうち、医療従事者か基礎疾患のある方で接種券がお手元にない方は、呉市に問い合わせて接種券を取り寄せてください。ワクチン接種をご希望の方は、クリニックの診療時間内に、電話(0823‐71‐71001)で予約をお願いします。(詳しい説明を読みたい方は、「続きを読む」を押してください。)

超音波検査(リンパ節①)
トピックス · 18日 5月 2023
リンパ節は一種の免疫器官で、細菌やウイルス、癌細胞などの有無をチェックをし免疫機能を発動する「関所」のような役割をしています。リンパ節は、細菌やウイルスなどの感染に伴い炎症性に腫れたり、癌細胞などの悪性腫瘍により腫瘍性に腫大することがあります。エコーではリンパ節は灰色~黒色の色調で、扁平型や楕円形、円形に見え、リンパ節に入る血管やリンパ管の入り口であるリンパ節門が小さな白色線状に見えることもあります。頸部には元来、リンパ節が多数あり、風邪など上気道感染に伴う炎症によりしばしば腫大します。また、鼠径部にもリンパ節が比較的多くあり、細菌感染などの炎症により鼠経リンパ節も腫大することがあります。頸部や鼠径部などの、体表の皮下にリンパ節は多く存在していますが、腹腔内にもリンパ節は散在しており、腹部の疾患により腹腔内のリンパ節は腫大します。終末小腸の部分は、比較的リンパ節が多い場所で、感染性腸炎などの炎症の波及により、しばしば腸管周囲のリンパ節の腫脹が見られます。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

食道裂孔ヘルニア
トピックス · 05日 5月 2023
今回のブログは食道裂孔ヘルニアの説明です。食道裂孔ヘルニアとは、胃の一部が横隔膜に開いた穴(食道裂孔)を通って、胸腔に飛び出す病気です。胸と腹は横隔膜という筋肉の膜で分けられ、食道は喉から胸を通過し、食道裂孔を通って腹腔内の胃につながっています。加齢とともに食道裂孔を支えている筋肉の筋力が低下し裂孔が広がったり、肥満や便秘、慢性的な咳などのため腹圧がかかる状態が持続すると、胃の一部が胸腔に脱出してしまいます。食道裂孔ヘルニアは無症状のことも多いものの、胃の一部が胸腔に脱出すると、胃の内容物が食道に逆流しやすくなり、しばしば逆流性食道炎を併発します。嘔気や胸やけ、食べ物がつかえる感じ、みぞおちの付近や喉の違和感などの症状が起こることがあります。治療は、まずは生活習慣の改善や内服治療での症状軽減を図ります。腹圧を軽減するために、ベルトやコルセットをきつく締めすぎないようにして、食後にすぐに横にならないなどの生活習慣の改善や、制酸剤の内服で対応します。また非常に高度な食道裂孔ヘルニアの場合、外科的手術が選択されることもあります。(詳しい説明や画像が見たい方は「続きを読む」を押してください。)

超音波検査(卵巣)
トピックス · 23日 4月 2023
卵巣は子宮の左右に1個ずつあるエコーで灰色の楕円形に見える臓器で、月経周期に伴い形や大きさが変化します。機能性嚢胞は周期的な月経周期に伴い見られる嚢胞で、病的なものではなく液体成分が貯留した生理的変化で、単房性で壁肥厚や隔壁を認めません。子宮内膜類似組織が卵巣で発育・増殖して、卵巣に嚢胞を形成したものを内膜症性嚢胞といい、内部に茶色の血液成分を貯留するためチョコレート嚢胞とも呼ばれます。内膜組織からの出血で血液成分を含むため、エコーでは真っ黒というより黒色の中に微細顆粒の霧状の像が見えます。排卵後の黄体形成時に増生した血管が、時に破裂して卵巣出血を起こすことがあります。出血はエコーで黒色の腹水の様に見えますが、よく見ると血液成分のために灰色の点状エコーが霧状に見えます。嚢胞性病変の中で良性のものは、隔壁の壁肥厚や充実性部分を認めず、腹水貯留も認めませんが、悪性の卵巣腫瘍では隔壁肥厚や充実性成分を認め、時に多量の腹水を認めます。また腫瘍が腹腔内に進展すると腹膜や腸間膜と一塊になった像が見られることもあります。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

超音波検査(子宮②)
トピックス · 11日 4月 2023
子宮に最も高頻度に見られる腫瘍が子宮筋腫で、これは良性の腫瘍で平滑筋細胞、繊維性結合織や血管などからなっています。筋腫には、子宮の外側を覆う漿膜の下に発育するもの、筋層内に発育するもの、子宮内膜方向に発育するものなどがあります。筋腫は小さいものはエコーで黒色の腫瘤に見えるものの、大きくなるにつれて、変性と呼ばれる組織の変化が起こり、黒、灰色、白などの様々な色調となり、白黒混在した構造に見えたりします。筋腫の内部が白黒まだらのモザイク様にエコー見えることがあり、これは筋腫の腫瘍細胞が壊死してガラスの様に固くなった硝子変性をおこしたことによる変化です。また、筋腫の一部の腫瘍細胞が虚血壊死をおこすと、内部に壊死物質や血液成分などの液体成分を貯留した嚢胞変性を認めることがあり、嚢胞変性はエコーで見ると黒色に抜けた像に見えます。筋腫の変性に伴う石灰化は腫瘍組織が石の様に固くなる変化で、エコーでは白く見えます。高齢者の子宮筋腫に見られることが多く、強くエコーを反射するために石灰化の背後には黒い影が見えます。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

潰瘍性大腸炎
トピックス · 31日 3月 2023
潰瘍性大腸炎とは、肛門近くの直腸から口側の大腸の粘膜面に連続してに炎症をおこし、大腸粘膜にびらんや潰瘍などが起こる病気で、発病すると腹痛や下痢、血便などの症状を認めます。難病に指定されており、根本的な原因は現代の医学でも完全には解明されていませんが、いろいろな要因により人体の中の免疫機構の異常が関与することで発症すると考えられています。潰瘍性大腸炎は完全治癒をさせることが難しく、症状が治まったり(寛解)、悪化したり(増悪)を繰り返すことも多く、なるべく病状が安定している寛解期を維持することが治療の目的となります。病状の再燃や増悪により炎症が高度となり、コントロール不良の下血や腸管穿孔を起こす重症の状態になれば、時に外科的な手術で全大腸を摘出しなければならなくなることもあります。また、発症して年数が経過すると、大腸癌の危険性が高まることも分かっており、再燃を予防し寛解を維持するために継続した治療が必要であるとともに、病状の評価や大腸癌の発生の有無の確認のために、定期的な内視鏡検査を受けることも重要になります。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

超音波検査(子宮①)
トピックス · 19日 3月 2023
子宮は膀胱の裏側に洋梨型に見える臓器で、子宮の内部には月経周期に相当する子宮内膜が、エコーでは白色の線状や帯状に見えます。多くの子宮は体部が頸部に対して前方に屈曲(前屈)しています。時に背側に傾いている人がいて、後屈子宮といわれますが、後屈子宮は特に病気ではありません。また、子宮頸部に嚢胞が見らえることがあり、これはナボット嚢胞です。エコーでナボット嚢胞は子宮頸部に境界明瞭な黒色の円形構造としてみられ、内部に粘液性の液体を貯留したもので、良性で病的意義は乏しいです。エコーの検査では妊娠した子宮にも通常とは違う変化が観察されます。妊娠初期(妊娠5週目程度)の子宮では、子宮の中に胎嚢と呼ばれる羊水を貯留した空間が、エコーで黒色に見えます。妊娠のごく初期には胎嚢中に胎児は見えないこともあります。妊娠7週になると、胎嚢の中にリング状の卵黄嚢が見え、その横に小さな胎児の体が確認でき、ドップラーで見ると心臓の拍動が観察されます。妊娠16週になると、胎児の頭部や、胴体、背骨や上肢などがエコーではっきり確認されます。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

虚血性大腸炎
トピックス · 27日 2月 2023
虚血性大腸炎とは、一時的に大腸への血流が滞ることで大腸粘膜に損傷をきたし、腹痛や血便を起こす病気です。大腸が血液を受け取る2本の動脈の血流領域の境界にあたる下行結腸からS状結腸にかけて虚血性大腸炎は好発します。強い腹圧をかけると、血管に攣縮が起こることで腸管への血流が低下し、大腸粘膜にびらんや潰瘍を発生すると考えられています。便秘などのためトイレで腹圧をかけてきばった後に、何度か便がでて便意が少し落ち着いてから腹痛と血便が出現するというのが典型的な発症様式ですが、腹圧をかけなくても発症することもあります。腸管の虚血は一過性のことが多く、食事指導などで腸管の安静を図り、腹圧をかけず排便コントロールを行う保存的治療で多くの場合は改善しますが、ごく稀に腸管の壊死や狭窄をきたすこともあり、その場合は外科的手術が必要になることもあります。虚血性大腸炎は、ほとんどの症例で保存的治療により改善しますが、発症に腫瘍性病変などによる腸管狭窄が関与している事も稀にあり、保存的治療で改善した後に全大腸内視鏡検査による精密検査が勧められます。(詳しい説明と画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

大腸憩室(憩室出血と憩室炎)
トピックス · 12日 2月 2023
トピックスのブログのコーナーでは、胃腸の病気についての説明をしていますが、今回は大腸憩室と憩室炎・憩室出血について説明をします。憩室とは、消化管の壁の一部が外側に袋状に飛び出したものをいい、食道や胃、小腸や大腸と、どの消化管にも起こることがありますが、その中で大腸憩室に最も頻繁に見られます。大腸憩室はあっても大半は無症状で、存在すること自体は病気ではありません。しかし、大腸憩室に糞便が貯留し内部で細菌感染による炎症が発生すると「憩室炎」を起こし、腹痛や発熱などを認めることがあります。憩室炎は、多くは抗生剤の使用などの保存的治療で改善しますが、炎症が高度になると腸管穿孔や膿瘍形成をおこしたり、炎症により腸管の狭窄をきたすこともあり、場合によっては外科的手術が必要になることもあります。また、大腸憩室の血管から出血をすると下血をきたし、これが「憩室出血」です。憩室出血は、安静により自然止血することが多いものの、時に大量下血を認めることがあり、内視鏡的治療などの止血治療が必要になることもあります。(病気についての詳しい説明と、疾患の画像が見たい方は、「続きを読む」を押してください。)

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