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超音波検査(腹腔内出血)

超音波検査(腹腔内出血)

何らかの原因により腹腔内で出血を起こすと、腹腔内に貯留した血液が腹水としてエコーで観察されることがあります。①~⑦は腹腔内出血を認めた脾損傷の同一症例のエコー画像です。①では、内部に腸管ガスを含み背部に影を引いて見える腸管(赤色矢印)周囲に、腹腔内出血が少量腹水としてエコーで黒色(水色矢印)に見えています。②,③でも同様に腸管の間に貯留した血液成分が黒色の腹水貯留像(水色矢印)として観察されます。④では肝臓(黄色矢印)の周囲に貯留した少量出血が、黒色の腹水の像(水色矢印)として見えています。検査時にこのような少量腹水が腹腔内各所に確認されたため注意深く腹腔内を観察したところ、⑤~⑦の様にエコーで脾臓は内部が粗造に見えました。⑤では脾臓内部に黒色部(赤色矢印)と白色部(白色矢印)がまだらにみえ、これは挫傷した脾臓の組織を反映しています。⑥,⑦では黒色部(赤色矢印)に連続するような脾臓の裂傷部(黄色矢印)が観察でき、その裂創部(黄色矢印)は横隔膜(桃色矢印)直下に貯留した被膜下血腫(緑色矢印)に連続しています。患者さんによく話を聞いてみると、受診の1週間前に左側腹部を強打しており、それによる脾損傷と腹腔内出血のエコー像と考えられ、腹腔内の血液貯留の描出が病状の適切な診断の手がかりとなりました。


⑧~⑬は卵巣出血の同一症例画像です。卵巣は生理周期に応じて大きさや形が変化しますが、この卵巣から出血すると強い腹痛を認めます。卵巣は排卵後の黄体期に黄体嚢胞を形成することがあり、卵巣出血ではこの黄体嚢胞からの出血が多く、頻度的には右の黄体嚢胞からの出血が多く見られます。⑧では肝臓(橙色矢印)周囲に腹腔内出血(水色矢印)が少量腹水の像として確認できます。⑨では腹腔内出血が、肝臓(橙色矢印)と腎臓(桃色矢印)の間のモリソン窩に腹水(水色矢印)として確認できます。⑩~⑬は同一症例の下腹部のエコー画像で、下腹部に多量の腹腔内出血(水色矢印)が貯留している像が確認できます。⑩~⑫では、エコーで黒く見える尿を貯留した膀胱(白色矢印)の周囲に、多量に貯留した腹腔内出血(水色矢印)が確認でき、貯留した血液内に子宮(橙色矢印)や腸間膜(青色矢印)が漂っています。また⑫の拡大像では子宮(橙色矢印)の背部に貯留した血液成分(水色矢印)がよく見ると真っ黒ではなく黒色霧状にみえ、これは貯留した液体が単なる低濃度の漿液性腹水ではなく、血液成分を伴う高密度の濃度の高い浸出液であるために霧状に見えています。⑬では出血源の黄体嚢胞(赤色矢印)が確認でき、黄体嚢胞は出血により嚢胞壁は緊満感がない状態に見えています。

 

参照ブログ

超音波検査(脾臓)  超音波検査(卵巣)

超音波検査(腹水①) 超音波検査(腹水②)

超音波検査(腹水③) 超音波検査(腹水④)