超音波検査(エコー)

外からは見えない体中の状態を、超音波という体に影響がなく痛みもない検査で適確に評価・診断して、病気の早期発見・治療を目指します。

超音波診断装置(エコー)は、プローブという超音波発生装置の先端にゼリーをつけて患者さんの体にあて、プローブの先端から超音波を出すことで、患者さんの体の中の状態を画像にして観察・評価ができる画像診断装置です。原理としては、魚群探知機や暗闇のコウモリと同じ原理です。ゼリーをつけたプローブを患者さんの体に接触するだけなので、全く痛みもありません。また超音波は体に全く無害で、検査による体への悪影響もなく安全なため、産婦人科では母親の体内の胎児の観察にエコーは頻繁に使用されています。エコーでは、腹腔内の肝臓や胆嚢や、腎臓などの臓器を評価でき、頸部の甲状腺やリンパ節なども見ることができます。また心臓の動きや血管の状態なども評価でき、心臓や血管内を流れる血液の流速を測定して、心臓弁の狭窄の程度や弁を逆流する血液量を推定することもできます。いいことずくめに聞こえますが、エコーにも弱点はあります。エコーは空気があると、その裏側に超音波が届かず気体の裏側は見えません。そのため、体の背側にある膵臓は腸管ガスのために、どうしても全体像が見えにくいことも多いです。またそのような理由のために、基本的にエコーでよく見えるのは中に空気が入っていない臓器で、胃や大腸は中に気体が存在するため、胃腸に関しては内視鏡検査のほうが圧倒的に正確な評価・診断ができます。

たなべ内科クリニックでは、超音波診断装置としてHitachi-Aloka社の最新機種であるARIETTA65を開院時に採用しました。超音波診断装置は、年々その性能が進歩してきており、当院で採用したARIETTA65も驚くべき高性能で、開院後いろいろな病気の発見・評価に役立っています。エコーは全く体に侵襲がない検査であるその特性のため、現在の医療では「聴診器」の様に気軽に患者さんに当てることで、聴診器よりもはるかに多くの有益な情報が得られ、病気の早期発見・早期治療に欠かせない検査方法となっています。

 

腹部エコー

  • 超音波診断装置を使うことにより、腹部の臓器の状態を評価したり、病気を見つけたりすることができます。
  • 胃や小腸や大腸などの消化管の臓器には、ゲップやおならのもとになるガスが存在します。超音波検査では気体の裏側は影になり見えません。食後には消化管のガスが増加するため、腹部エコーの検査はガスが少ない空腹時の方が検査に適しています。
  • 気体があるとその裏は影になり見えないため、中に気体が入っていない肝臓や腎臓や胆嚢など塊の臓器が超音波検査には適しています。一方で体の中で背側にある膵臓は腸管ガスがかぶり、エコーでは膵臓は一部しか描出できないことも多いです。
  • また、子宮や卵巣など骨盤内の臓器に関しても、腹部エコーによる体表からの超音波検査では腸管ガスがかぶり詳細な観察が困難なことも多く、婦人科で行われる経腟エコーでの検査の方が腸管のガスの影響が少なく詳細な観察ができます。

     

★腹部エコーで診断・評価できる病気と超音波画像について詳しく知りたい方は、以下のボタンを押してブログを参照してください。





消化管エコー

  • 超音波検査では空気があるとその背後は影になり見えなくなるため、本来は中に気体が入っていない肝臓や腎臓、胆嚢などの臓器が超音波検査には適しています。胃や大腸などの消化管の中にはゲップやおならのもとになる気体が存在しているために、消化管の病気の詳細な観察はエコーでは困難なことも多く、消化管疾患の診断に最も有効な検査は内視鏡検査になります。
  • しかし胃や大腸など中に気体が入っている臓器でも、病気による大きな変化が起こり胃や腸の壁が肥厚すると内部のガスを押しのけるため、時にエコーでも胃腸の病気を推測し診断・評価できることもあります。
  • 超音波検査は体に全く侵襲が無い検査で、内視鏡検査で必要な前処置などを必要とせず手軽にできることなどから、消化管の病気の可能性が疑われる場合に、消化管エコーで病気による大きな変化の有無をまずは確認してみることもあります。
  • ただし、エコーではっきり病変が描出されなかった場合でも、腸管ガスの背後に隠れて見えていない所に病変が存在している可能性は完全には否定できず、消化管の病気の確定診断には内視鏡やCTによる検査が必要になることもしばしばあります。

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