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超音波検査(腹水⑤)

超音波検査(腹水⑤)

エコーで腹水が見つかった場合、肝炎や肝硬変、膵炎などの腹腔内臓器の炎症や、憩室炎や消化管穿孔といった消化管の炎症が原因となることがありますが、腹腔内の腫瘍、特に悪性腫瘍が腹水の原因となることがあるため注意が必要です。その中でも卵巣癌では時に高度な腹水貯留を起こし、急速に腹部膨満が進むことがあります。①〜⑥は卵巣癌の同一症例の腹部エコー画像です。①では肝臓(黄色矢印)や胆嚢(緑色矢印)の表面に、エコーで真っ黒に映る腹水(水色矢印)が確認できます。②でも肝臓(黄色矢印)と右腎臓(黄緑色矢印)の間のモリソン窩から腎臓表面にかけて、高度の腹水(水色矢印)が見られます。③〜⑥は同症例の下腹部エコー画像で、10cm以上の嚢胞成分主体の卵巣腫瘍(赤色矢印)を認めています。卵巣腫瘍内には、液体を貯留した嚢胞成分がエコーで黒く描出されており、多房性嚢胞と一部に肥厚した隔壁や充実性成分を伴っています。嚢胞性卵巣腫瘍のうち悪性腫瘍の場合には、このように隔壁の肥厚部や充実性部分を認め、高度腹水を伴い、腫瘍の増大や腹水によって著しい腹部膨満を示すことがしばしばあります。


⑦~⑬は別の卵巣癌の同一症例画像です。⑦では肝臓(黄色矢印)や胆嚢(緑色矢印)の表面に、エコーで真っ黒に見える腹水(水色矢印)が確認できます。⑧の上腹部のエコー画像では、多量の腹水(水色矢印)の中に胆嚢(緑色矢印)が浮遊するとともに、さらに腹水内に腸間膜の一部(青色矢印)が漂っている像を認めます。⑨ではモリソン窩から腎臓(黄緑色矢印)前面に、高度腹水貯留が確認できます。⑩,⑪は同一症例の下腹部のエコー画像ですが、高度腹水(水色矢印)の中に一部腸管や腸間膜(青色矢印)が浮遊しているとともに、腸間膜の一部には腹膜播種した卵巣癌が腫瘤(紫色矢印)として確認できます。⑫では腫瘤内には一部嚢胞成分(赤色矢印)を伴うとともに、⑫,⑬で腹腔内の腹膜播種巣は塊状の腫瘤(紫色矢印)を形成しています。卵巣癌では、しばしば多量の腹水貯留を認め、腹腔内の腹膜、腸間膜、ダグラス窩、モリソン窩などに腹水を通じて播種した癌は塊状の腫瘤を形成します。腹腔内へ播種した腫瘤が大網で塊状の腫瘤を形成すると、オメンタル ケーキ(大網ケーキ)と呼ばれ、一部の腸管や腸間膜と腹膜播種した腫瘤が一塊となった像を示します。オメンタル ケーキは胃癌や大腸癌、子宮癌でも時に認められるものの、卵巣癌でよく見られます。

 

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