· 

超音波検査(腹水④)

超音波検査「腹水④」

胃や小腸、大腸などの消化管に重篤な異常が起こると腹水が発生することがあり、エコーで腹水が確認できる場合は注意が必要です。①~⑥は腸閉塞の同一症例画像です。腸閉塞とは、腹部の手術後の腸間膜の癒着や、腸管の捻転、ヘルニアなどのために小腸の一部が詰まってしまい、小腸内に腸液や食べ物が溜まり通過できなくなってしまう病気です。①,②では拡張した小腸(赤色矢印)の中にエコーで黒色に見える腸液が貯留し、ケルクリングと呼ばれる小腸ヒダ(緑色矢印)が白く線状に見えています。これはキーボード=サインと呼ばれる腸閉塞に見られる所見で、ピアノの白黒の鍵盤の様に見えるためについた名前です。②~⑤では、拡張した小腸内に白色に見える小腸ガス(白色矢印)が見え、その背後に影(桃色矢印)を引いています。また腸管の間に少量の腹水(水色矢印)も確認できます。⑥は同一症例のレントゲン像です。腸閉塞では、二ボーと呼ばれる水面像(水色矢印)と小腸ガス(赤色矢印)の貯留がレントゲンで見られ、閉塞した小腸内に腸液と小腸ガスの貯留が確認できます。小腸への血流障害を伴う絞扼性の腸閉塞では外科的手術での治療が必要になるため、腸閉塞では腹水の有無が絞扼性の腸閉塞などの重篤な腸閉塞を疑うきっかけになることがあり注意が必要です。

 


⑦~⑪は直腸穿孔の同一症例画像です。⑦では高度に壁の肥厚した腸管(赤色矢印)を認め、また腸管の周囲の脂肪組織(紫色矢印)は白く輝度が上昇しています。⑧でも高度に壁肥厚した小腸(赤色矢印)を認めるとともに、一部の小腸ではケルクリングと呼ばれる小腸ヒダ(黄緑色矢印)が線状に見えており、壁肥厚した小腸の周囲の脂肪組織(紫色矢印)はやはり白く輝度が上昇して見えています。⑨,⑩は同一症例の下腹部のエコー像で、黒色の尿が貯留している膀胱(黄色矢印)のすぐ横に黒色の腹水(水色矢印)が貯留しているのが確認できます。⑪,⑫も下腹部の骨盤内のエコー像であり、尿の貯留した膀胱(黄色矢印)の周囲に腹水(水色矢印)が貯留し、フリーエアーと呼ばれる腸管から腹腔内に漏れ出た空気(赤色矢印)が白く見え、フリーエアーは背後に影(桃色矢印)を引いています。腸管穿孔が起こると、腹腔内に腸管内の内容物や空気が漏れ出て強烈な腹痛を認めます。また炎症による腸管肥厚や腹水貯留を認め、腹膜炎起こすため緊急の外科手術での治療が必要になります。この症例でも高度に壁肥厚した小腸と腹水を認め、腹壁は非常に硬く、腹膜炎と腸管穿孔によるフリーエアーが疑われて専門病院に紹介となり、CTなどの精密検査により直腸穿孔と診断され緊急手術が行われました。

 

参照ブログ

腸閉塞  超音波検査(小腸②)

超音波検査(消化管) 超音波検査(腹水①)

超音波検査(腹水②) 超音波検査(腹水③)

超音波検査(腹水⑤) 超音波検査(腹腔内出血)