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上部内視鏡(食道裂孔ヘルニア)

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアとは、横隔膜より下の腹腔内にある胃や腸管などの臓器が、食道が通過するために横隔膜に開いた穴(食道裂孔)を通り胸腔内に入り込む病気です。胸と腹は横隔膜という筋肉の膜で分けられていますが、加齢などにより食道裂孔を支える筋肉の筋力が低下することなどで食道裂孔が広がったり、腹圧がかかったりすることで腹腔内臓器の一部が胸腔内に脱出してしまいます。①は正常の胃食道接合部を胃側から反転して見た内視鏡画像です。内視鏡と胃粘膜の間はぴたりとくっつき(白色矢印)、隙間はありません。②,③は軽度の食道裂孔ヘルニアの同一画像で、内視鏡と胃粘膜の間に空間(緑色矢印)が見え、胃の一部が胸腔内に脱出しています。④はそれより高度の食道裂孔ヘルニアの内視鏡画像で、胸腔内に突出した胃のため内視鏡との隙間(緑色矢印)が大きく見えています。⑤~⑦は重症の食道裂孔ヘルニアの同一症例画像です。⑤ではヘルニアとして突出した胃の空間(緑色矢印)が内視鏡で確認でき、⑥のCT像では、緑色矢印の横隔膜より上の胸腔側にヘルニア内容物として胃の一部(赤色矢印)や小腸の一部(水色矢印)が確認できます。⑦は同一症例の心エコー画像で、心臓の左心房(水色矢印)をヘルニア内容物(赤色矢印)が圧迫する様子が確認できます。


⑧~⑪は高度食道裂孔ヘルニアの同一症例画像です。⑧では内視鏡との間に隙間(緑色矢印)を認め、食道裂孔ヘルニアから胸腔内に胃の一部が脱出している像が遠目から確認できます。⑨でもヘルニアとして脱出した胃内容(緑色矢印)を、もう少し近接した画像で確認できます。⑩ではさらに近接して、ヘルニアとして突出した胃の内部を内視鏡で見た画像で、脱出した胃の中には胃液の貯留(水色矢印)が確認できます。⑪は同一症例の胸部レントゲン写真ですが、横隔膜(桃色矢印)よりも上部の胸腔内にヘルニア内容物として入り込んだ胃(緑色矢印)が円形に確認でき、よく見ると円形の胃の中に貯留した胃液が鏡面像(水色矢印)を示しているのがレントゲンでも確認できます。⑫~⑭も食道裂孔ヘルニアの同一症例の内視鏡画像です。⑫では内視鏡との隙間(緑色矢印)として、ヘルニアが確認できます。ヘルニアが高度になれば胃食道吻合部の締りが悪くなるため、胃酸の逆流が起こり逆流性食道炎をしばしば合併します。⑬,⑭は同一症例を食道側から見下ろした逆流性食道炎の内視鏡像で、胃食道接合部付近の食道粘膜は胃酸による損傷で全周性に赤く変化し(黄色矢印)、白苔を伴う潰瘍面(黒色矢印)も伴っています。その奥にヘルニアとして突出した胃(白色矢印)も確認できます。

 

参考ブログ:食道裂孔ヘルニア

上部内視鏡(逆流性食道炎)