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虫垂炎

虫垂炎

虫垂炎とは

虫垂は小腸から大腸に入ったすぐのところの盲腸にある、太さは4~5mmで長さが7cm程度のひも状の突起物ですが、大きさには個人差もあります。便が固まってできた噴石などにより虫垂が閉塞したりすることで、細菌感染を起こす病気が虫垂炎で、一般の人には「盲腸」という呼び名で知られています。虫垂炎は小児から小中学生、10~20代の若者に発生率が高いものの、高齢者など全ての世代に起こりえます。典型的な症状は右下腹部の痛みですが、初期には右下腹部痛ははっきりせず、むかつきや吐き気などの症状のみで発症することもしばしばあり、典型的な症状でない場合には診断に苦慮することもあります。診断には腹部エコーやCTなどの画像検査で、腫大した虫垂を確認して確定診断を行います。虫垂炎の治療としては炎症が軽度の場合、抗生剤の投与にて改善することもあり、これがいわゆる「薬で散らす」と言われる方法です。しかし炎症が高度になると虫垂に穴が開いて腹膜炎が重症化する可能性もあり、外科的手術が選択されることも多いです。以前は外科的手術の方法は右下腹部を5cm 程度切開して行う開腹手術でしたが、最近はお腹に数か所あけた穴からカメラや手術器具を腹腔内に挿入して手術を行う腹腔鏡下手術が、選択されることも多くなっています。


虫垂炎の症状

典型的な虫垂炎の症状は、右下腹部の痛みです。しかし、虫垂炎の初期には、みぞおち付近が軽く傷んだり、あるいはまったく痛みがないこともあり、また初期には食欲不振や、むかつきや吐き気などの症状だけで、熱や腹痛が全くないこともしばしばあります。時間がたつと痛みが右下腹部に移動し、経過とともに腹痛もひどくなります。炎症がひどくなると、腹膜炎により熱が出て、お腹を触られると強い痛みを感じます。強い痛みのために腹筋の力を抜くことができずお腹が固くなったり、背中を丸めた姿勢になることが多く、歩く時の振動が強くお腹に響いたりします。強い炎症が起こると虫垂に穴があき、虫垂内の膿が腹腔内に広がることもあります。腹膜炎が広汎に腹腔内に広がると、場合によっては生命にかかわる重篤な状態となることもあります。虫垂炎はしばしば起こる病気でもあることから、一般の方にも「盲腸」という名で広く知られていますが、症状のあらわれかたなどが典型的な経過ととらないこともしばしばあり、時としてその診断に苦慮することもあります。


虫垂炎の原因

虫垂炎の原因は、完全には解明されてはいないものの、噴石(消化管の中で便などの内容物が固まったもの)などの異物が虫垂内腔を閉塞することなどにより、虫垂内に細菌感染が起こることで発症します。炎症が進行すると、虫垂内に膿が溜まり、多くの場合は発熱したり右下腹部の痛みを認めます。さらに炎症が高度になると、虫垂に穴があく穿孔をきたし、膿が腹腔内に流れ出すと高度な腹膜炎を発症することがあります。虫垂内に噴石があると、穿孔する確率が高くなるといわれています。また、虫垂を閉塞する原因として、稀ではありますが、腫瘍が虫垂入り口を閉塞することで虫垂炎を発症することもあります。

虫垂炎の検査と診断

患者さんの症状経過や腹部の触診などで虫垂炎が疑われた場合、エコーやCTなどの画像検査により虫垂炎を診断をします。エコーでは正常の虫垂は普通は描出されません。虫垂炎になり虫垂に膿が溜まると、エコーでも腫大した虫垂が見えることがあります。虫垂内腔側から黒-白-黒の3層構造の肥大した虫垂が確認できると、虫垂炎の可能性が高くなります。虫垂炎では、虫垂内部に便の塊による噴石を時に認め、エコーで噴石は白色の小石のような像として見えます。炎症が高度になると、3層構造がはっきりしなくなったり、また高度の炎症で虫垂に穴が開くと、膿が腹腔内に流出するため、虫垂の腫大が逆に軽くなることもあります。また炎症が高度の場合、周囲に腹水を認めることもあります。エコーは気体があるとその背後は見えません。大腸などの腸管内にはガスが多く存在し、虫垂が大腸の背側にあると、腸管ガスのため腫大した虫垂がエコーでは見えないこともあります。腹部CTは腸管ガスに関係なく虫垂の腫大を評価できますが、CTでも、虫垂炎は大腸憩室炎や卵巣や卵管の炎症などと鑑別困難なことも時にあります。血液検査では炎症の程度を評価できますが、虫垂炎に特有の血液検査項目があるわけではなく、血液検査だけでは虫垂炎の確定診断はできません。

参照ブログ:超音波検査(虫垂)


虫垂炎の治療

虫垂炎の治療の方法として、大きく分けて内科的治療と外科的治療があります。炎症の程度が比較的軽度の場合には、抗生剤投与による内科的治療が選択されることもあります。いわゆる「薬で散らす」という方法で、比較的軽度の虫垂炎に選択される治療方法です。内科的治療で改善した場合には、虫垂自体はまだ体の中に残っており、一度治っても後に虫垂炎が再発することもあります。

炎症が高度になると、虫垂に穴があく穿孔を起こすこともあります。穿孔すると虫垂内の膿が腹腔内に広がり重症の腹膜炎となることもあるので、虫垂炎と診断された場合には手術により虫垂を切除する外科的治療が選択されることも多いです。以前は、右下腹部を4cm ~5cm切開して虫垂を切除する開腹手術での治療が行われていましたが、最近は病状にもよるものの、お腹に数か所開けた穴からカメラを挿入して虫垂を切除する腹腔鏡下手術が選択されることも多くなっています。腹腔鏡下手術では手術の傷も小さく、術後の回復が早いなどのメリットがありますが、激しい腹膜炎をおこした虫垂炎などでは、開腹手術が選択されることもあります。