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尿管結石

尿管結石

尿管結石とは

尿管結石は、腎臓と膀胱の間の尿の通り道である尿管に結石が詰まることにより、腹痛や背部痛などを起こす病気です。痛みは強くなったり弱くなったりと波がある痛みのことが多く、時に強烈な痛みを生じることもあります。結石はカルシウムやマグネシウム、尿酸などが結晶化したもので、その形成には食生活や年齢、体質、尿管の形状、気候など様々な要因が関与していると考えられています。女性より男性に発症率が高く、男性は30代~50代の人に、女性は閉経後の50代~70代に多く発症します。尿管結石の診断は、症状やその発症様式などにより尿管結石と診断できることも多いものの、損傷を受けた尿管から生じる微量の血液成分の有無を調べる尿検査をしたり、結石が尿管につまり尿の流出が滞ることで生じる水腎症の有無や尿管に詰まった結石自体を、エコーやCTなどの画像検査で調べることにより診断します。尿管結石は膀胱に落ちれば症状は消失するため、痛みの症状が強い時は鎮痛剤の使用で症状を緩和し、結石の自然落下を待つ保存的治療が多くの場合行われます。ただし、結石が大きい時や、数週間待っても自然落下しない時は、結石を体外から超音波で破砕したり、尿管へ内視鏡を挿入しレーザーで砕く治療などを、専門の泌尿器科では行うこともあります。

 

 


尿管結石の症状

尿管結石では、病変側の側腹部から下腹部にかけて強い痛みをしばしば認めます。尿管に詰まった結石が移動したりすることにより、痛みは強くなったり少し軽くなったりと波があることが多く、痛みが強くなって強烈になると、冷や汗がでたり、吐き気を生じて嘔吐すしたり、しばしば強い痛みのため動けなくなることもあります。また尿管結石が詰まることで尿管内の尿の流出が滞ると、腎臓の腎盂の拡張をきたす水腎症を発症し、腰背部に痛みや違和感が出ることも多く、腎臓がある腰背部を叩くと背部に強く響く痛み感じることもあります。また尿管に詰まった結石が尿管に損傷をあたえるため、血尿を認めることもあります。尿中に明らかに血液を含み赤く見える尿が確認できることもありますが、肉眼的には透明でも微量な血液成分を含む血尿のことも多く、医療機関での検尿検査で尿潜血がしばしば陽性になります。また、結石のために腎臓から膀胱へ排出する尿の流れが悪くなることで、尿管や腎盂に細菌感染を起こすと、腎盂腎炎などの尿路感染症を併発することがあり、腎盂腎炎を併発した場合には、しばしば高熱をきたすこともあります。


尿管結石の原因

左右の腎臓で作られた尿は、腎臓内の尿の通り道である腎盂を通って、腎臓と膀胱をつなぐ尿の通り道である尿管に移行し、尿管を通って膀胱に運ばれます。この尿の通り道に結石が詰まることで尿管結石はおこります。結石はカルシウムやマグネシウムや尿酸などの成分が結晶化したもので、カルシュウム系の結石がもっと高頻度に見られます。結石の形成には食生活や年齢、体質、尿管の形状や、気候など様々な要因が関与していると考えられており、尿管結石はここ40年間で約3倍に増加していると言われています。特に食生活との関連が指摘されており、動物性の蛋白質や脂肪分の摂取、糖分や塩分などの摂取が増加し食生活が欧米化したことが、近年の増加傾向の原因と考えられています。また季節的な影響もあり、夏には汗をかいて尿が濃くなることで、冬よりも結石ができやすくなる傾向にあります。結石が詰まりやす場所は、人体の構造的に3か所あり、①腎臓から尿管の境界部である腎盂尿管移行部、②尿管が総腸骨動静脈と交差する部位である総腸骨動静脈交差部、③尿管と膀胱の境界部である膀胱移行部です。そのうち②の総腸骨動静脈交差部が構造的に最も詰まりやすい場所で、結石がこれらの部位に詰まることで痛みなどの症状を発症することになります。


尿管結石の検査と診断

尿管結石の診断は、典型的な症例であれば患者さんの症状や、その発症様式などにより、ある程度予想がつくことも多いです。また、尿検査にて血尿を認めていれば、症状などの状況証拠から尿管結石とほぼ診断できることもあります。ただし、尿管結石の診断は実際に症状を引き起こしている結石をエコーやCTなどの画像検査で指摘することで確定診断が行われます。そのため、実際の医療現場では簡便に行えるエコーでの画像検査が多くの場合で選択されます。腎盂尿管移行部や膀胱移行部にある結石は、エコーで比較的描出しやすいものの、エコーでは気体の裏側は影になり映らないために、総腸骨動静脈交差部にある尿管結石は腸管ガスが邪魔になりエコーでは描出が難しいことも多いです。ただし、尿管結石自体がエコーで描出できなくても、詰まった結石により尿管の尿が鬱滞すると、病変側の腎臓の腎盂が拡大する水腎症をしばしば発症します。また尿管に詰まっている結石とは別に腎内結石を合併していることもあります。そのため、症状が典型的で尿検査で血尿が確認でき、エコーで病変側の水腎症や腎内結石が確認できれば、詰まっている結石自体が描出できなくても、尿管結石と診断できることも多いです。


尿管結石の治療

尿管結石は膀胱に落ちると症状は消失します。1㎝未満の結石は自然と膀胱に落下することが多く、痛み止めなどを使うことにより症状の軽減を図り、多くの場合は自然落下するのを待ちます。尿管結石では痛みが激烈なことも多く、患者さんによっては救急車で救急搬送されることもありますが、痛みが強くても基本的には命にかかわることはありません。結石が大きい場合や、数週間待っても自然落下をしない場合などには、専門の泌尿器科では体外から超音波をあてて結石を破壊したり、尿道に内視鏡を挿入してレーザーで結石を破壊したりすることもあります。尿管結石の患者さんの約半数が5年以内に再発すると言われており、再発予防も重要になります。塩分や糖分、脂肪分の多い食事を取り過ぎないようにして、結石を作りやすいとされる、ホウレンソウやナッツ、カフェインを含むコーヒーや緑茶、チョコレートなどの過剰摂取をさけ、しっかり水分を摂取することが必要です。また結石は就寝中にできやすいため、コップ1杯程度の水を眠前に飲むことも発症予防になります。